釵の販売


◆【釵の注文】

 釵の購入に関してのお問い合わせを有り難うございます。
当館の製作する釵は、ご希望の長さ・重量・手の大きさ等を確認してからの
受注生産品で、オーダーメイドの釵となります。

[バランス]  まず1本を製作して、それを全く同じ形状・重量になるように、もう1本を製作します。
物打ち部分は、バランスを考慮しながら、丸棒を八角のテーパー状に、手作業で研削します。
この「八角形」には、昔からの深い意味がありますので、疎かにはできません。
「テーパー状」も、捕り方の御用十手とならないように、疎かにはできません。
そのときに、ちょっとした手加減で、若干の重量の差が出てしまいます。
簡単に終わると、バランスが45度程になったり、左右の重量を合わせようとして、研削に夢中になっていると、平行に近くなったりの失敗があります。
因みに、平行に近いと、逆手から順手に持ち替える一瞬に、釵を床に落としてしまうということもあります。

また、棒(棍)術では、組手は棒(棍)の先端を相手の眼に合わせて構えます。
釵術も同じく、構えたときに、柄頭が自然に相手の眼に向かっているかのような角度が必要です。

[翼の内幅]  同じ身長・体重でも、手の大きさが異なります。
若いときから、肉体労働などをなさった方は、手が分厚くて大きい方が大半です。
狭くては、回転が難しい! 広くては、しっくりしない!
ここは、重要な部分です。
HPの中に、A・B・C・Dと図示してありますが、その「C」(翼の内幅)の長さを知りたいのです。
なかなか即答できる方はいらっしゃいません。
ちなみに、女性が4cm・男性が4.5cm・体格の良い男性が5cmとほとんどの方はこのサイズで適合しています。

[長さ]  私の方から、質問をしますと、誰もが答えられません。
当館のHPで、説明はしてありますが、「約3cm長く」が不安になるのでしょう。
上記の写真の中に、A・B・C・Dと図示してありますが、その「B」(物打)の長さを知りたいのです。
その昔、身を守るために、身体より長く!
釵以外でも、殆どの古武器が、約3cm長く。と書かれています。
2寸では長いかな? 1寸くらいかな! そういうことで始まったように思います。
ですから、1寸 = 約3cm なのだと思われます。

友人・知人の釵を借りてくるなどして、はかり(キッチンスケールなどの計量器)で重さを測定してみてください。
どの釵の重さが自分に適しているかがわかると思います。
500g~550g・550g~600g・600g~650g。この辺りの重さが普通です。

※2023.03追記
塗装は、ガンブルー類を用いた「黒色」と、研磨したままの「銀色」の2種類の中からお選びください。

 当館の釵は、「師範用」と決められたものではありません。何方でも利用できます。
但し、「八角形・テーパー状に研削できる」という研削機械がありませんので、グラインダーでの長時間の手作業となります。最低労働賃金以下で計算していても、安い物ではありません。
誠に申し訳ありません。
 居合道の有段者は、模造刀ではなくて、本物の日本刀を使用するように決められています。
古武術でも、玩具ではなくて、本物の釵を愛用なさるように、お薦めします。

 琉球古武術保存振興会・琉球古武道保存振興会などがあります。
当館も、「保存と振興」に賛同致します。

◆【釵のバランス】

 沖縄の船越義珍先生は、文部省の要請により、体育として「唐手」を本土に持って来られました。そして、「唐手」は「空手」となりました。
船越義珍先生の門下生の平信賢先生は、「琉球古武術」を本土に持って来られました。
そして、1940年に琉球古武道保存振興会を創立して、1964年に琉球古武道大鑑(乾之巻)を発行なさいました。
琉球古武道大鑑は、①乾之巻・②元之巻・③亨之巻・④利の巻・⑤貞之巻の5巻の発行予定でしたが、①乾の巻で、終わってしまいました。
 
甲賀流忍術第14世藤田西湖師の命により、その門下の井上元勝先生は、平信賢先生に師事し琉球古武術を学びました。
井上元勝先生は、平信賢先生の説明による、琉球古武術で使用する各種の武器の全てを直接見て、市内の鉄工所・木工所に依頼して、数々の複製品製作をしました。
各種の武器がありますが、釵だけでも、大きい物・小さい物・長い物・短い物・重い物・軽い物・・・・井上空手道場の壁には、壁が見えなくなるほどにズラリと並んでいました。(現在、井上空手道場は東京都内へ移転しています)

平信賢先生は、最高直門の井上元勝先生に40余の型すべてを伝授し、栄誉ある免許皆伝第1号範士を与えました。さらに振興という観点から、型に基づいた技術体系を編むように命じました。そして、それは確立されました。

そして、井上元勝先生は、琉球古武道に関する書籍を発行なさいました。
その発行書籍は、国内最多の数々でした。
1977年発行の、「ひとりでできる入門書・琉球古武道基本技シリーズⅡ・釵術」
これには、「釵の種類」・「釵の寸法」・「釵のバランス」・「釵の持ち方」などが、図説で解りやすく記載されています。

 当館製作の琉球古武術の古武器は、こういった資料と、実際に見た現物を見本として、製作しております。

なお、
「図説 武器術」 小佐野 淳著 新紀元社発行
「秘武器の全てがわかる本」 岩井 虎伯著 BABジャパン発行
上記の2冊に、「鉄尺」が、中国武術の武器として、紹介されています。
これは、琉球古武道の釵と似てはいますが、異なるものです。

◆【釵の変換】

鉄を研削・研磨すると、日本刀のように、銀色になります。
そのままにしていると、自然と錆が発生します。
この茶色の錆をウエス等で擦る。表面は一応滑らかになる。又錆びる。また擦る。
そんな繰り返しをすると、以下の写真のようになります。

錆びないように、ペンキを塗ると、衝撃時に剥げたりします。
そこで、銀色メッキをした釵が登場しました。
形演武等で映えるので、かなり流行しました。
ところが、形演武の中にあるように、物打ちと物打ちが当たります。
対棒組手でも、物打ちに棒が当たります。
メッキは傷ついて、膜が破損して、物打ち部を掴んだときに、掌を痛めます。

そして、メッキ製品は消えました。
次に、鉄ではなくて、真鍮・亜鉛・アルミニウム等の合金製が登場しました。
鉄に比べて、強度が無くて、曲がってしまうので、強度を増すために、
太くしました。よって、重量も増えました。

しかし、本来の鉄製品は、依然として残っています。
日本人の体格の向上や、もしもの事を考えた結果。本来の物よりも、重くなりました。
大きくて、重い物ほど、武器としての威力はありますが、
元々は「隠し武器」の世界のもので、3本セットの内、2本は逆手持ちで両手に持ち、
1本は帯に差して、背中側に隠したのですから、できる限り、小型・軽量が望ましいはずなのです。

そして、「居合道の抜き打ち」のように、釵が瞬時に素早く動く。
それは、バランスが良ければ、可能な事なのです。
そして、バランスの良い釵は、持ったときに軽く感じます。

拳銃用の塗料に、「ガンブルー」というものがあります。
一端塗装して、錆を発生させて、その錆を取り除き、もう一度塗装すれば、完成です。

柄紐は、以前は「たこ糸」を使用していました。
その太さは、多種あるので、好みの太さのものを巻き付けていました。
現代は、化学繊維の紐が使用されています。
時代劇で、江戸時代の捕り物用の十手は、岡っ引きと同心は朱色、与力は紫色。
に設定されているようですが、釵は、黒色が一番似合うと思います。

沖縄より本土に上陸した「釵」は、数々の変換をしているのです。
まずは、自分の体格に合ったサイズを使用すること。
自分に合った重量のものを使用すること。
バランスの良いものを使用すること。

聞いて憶える。
見て憶える。
やって憶える。
読んで憶える。

コロナに負けずに、頑張ってください。

◆【釵の材質】

「釵が曲がってしまったので、この釵より太い釵を頼みたい・・・」
というご依頼がありました。
この例は、過去にも、かなりありました。

「所有されている釵に、“磁石” をくっつけてみてください」
鉄製とステンレス製は、磁石がくっつきますが、
模造日本刀と同じ合金製のものは、磁石はくっつきません。

合金の場合は、強度があまりないので、形状を太くしています。
ですから、頑固そうに見えますが、それでも曲がります。

市販の合金製(687g)の釵を見本にして、2種類を製作しました。
①約・同じ太さの鋼材で、釵を製作してみました。954gでした。
約1kgで、片手で扱うには、かなりの腕力が必要です。

②約・同じ重量の釵を目標に、いつもの鋼材で製作しました。677gです。
研削しすぎて、約10g少なくなってしまいました。全体的に細身です。
とはいっても、昔からの標準的な太さです。
これが、当館製作の標準品(550g~700g)です。

誰もが、最初に使用した釵に馴染みます。
最初に合金製を使用しますと、太いのが当たり前のように思うようです。
本来が「隠し武器」ですから、小型・軽量が望ましいように思います。

下記は解説動画です。ぜひ、ご覧ください。

◆【重い釵】

 インターネットの動画の影響なのか、所属道場の影響なのか、
重い釵を希望の方がいらっしゃいます。
いつもとは異なる太い鋼材で、2組製作しました。
物打ちの長さを長くしたものもあります。
どれも約950g程です。

おそらく、もう少し軽くして欲しいという、ご希望があると想像します。
その時には、また研削します。

◆【釵の重量】

釵の注文を受けて、「何グラム程の釵をご希望ですか?」
という質問をすると、いくつかの回答がありました。
そして、参考になるお話も聞きました。

「軽ければ、軽いほど良い」
私が、気になって、「曲がりませんか?」と聞いたら、
「長年やっていれば、“流し”という技術が身につくから、曲がることは無い」

「大会に出場するのに、私が所属する団体には規定があって、男子は650g以上でなければならないので、それで、お願いします」

「試し割もしたいので、重いほどいいのです」

「セミナーに出席したら、殆どの方が軽い釵を持っていた。
 聞いたら、“削って軽くした”と言っていました。削ってくれませんか?」

「尖端を鋭く、突き刺さるようにして欲しい」
私が気になって「危なくないですか?」と聞いたら、
「居合道では、有段者になると、模造刀ではなくて、本物の日本刀を使用する
 ことになるが、それと一緒で、真剣みが出てくるので、それが良い」

「今、銀メッキをした模造刀のような釵が出回っているが、隠し武器なのだから、光らないで、目立たないような色合いにして欲しい。
 黒色なら、太い釵は細く見える。細い釵は重量感が出るだろう」

 平均的には、若者が重い釵。 熟練者・年配者が軽い釵。
そういう感じに見受けられました。

インターネットで、日本刀の重さを調べてみると、「800g~1.5kgで、平均は1kg」
とありました。
釵とは重心の位置が異なりますが、これを両手で扱います。

 釵は、元々が“隠し武器”で、逆手に持って相手に見せなくしておいて、瞬間に順手に変えて、攻撃する。居合道のような動きをする武器です。

武器となれば、大きい・長い・重い等が有利ですが、携帯用の隠し武器となると、
そればかりではありません。
『小が大に勝つには、スピードと技』

 時々女性からの注文もありますが、殆どが男性であるので、約600g~700gの釵を製作して、「650gより重いですか?軽いですか?」という聞き方をしていましたが、その回答は、重い方も軽い方も、殆ど同じでした。

700gを超える方がありましたので、約700g~900gの製作を追加しました。
これは、今までより材料が異なりますので、若干高くなります。
どの釵も、ピッタリと何gではなくて、約何gという重量です。

さて、貴方は何gが宜しいのでしょうか・・・・・・・・・・

ちなみに、他社製作の釵の重量を計ってみました。
1組のうち、1本は687gでもう1本は697gでした。
当館でもそうですが、2本1組をぴったり同じ重量にするのは難しいのです。
しかし、この10g程の差があっても変に感じることなく使用しているのです。

◆【特注釵の製作】

この度、特別注文の釵を製作しました。
物打ちが太い・柄が太い・柄巻きは不要、という条件でした。
「試し割用」なのか?
日本刀でいうなら、重い刀の代表の「同田貫」に相当する釵です。
なんとか完成させました。重量は1本約900gです。
(写真の右側)

◆【釵の製作】

 釵の製作の材料となる鋼材には、丸・四角・六角形があります。
八角形は市販されていません。
もしあっても、テーパー状にするので、利用価値はありません。

丸棒を採用して、この鋼材を研削します。
物打ち部分は、八角形のテーパー状に。翼の部分は、円錐形状に。
柄頭だけは、四角材を採用して、切子状に。

6種類のグラインダー等を使用します。そのいずれからも火花が出ます。
夢中になって作業していて、その火が上着を破って、下着まで焦がして、更に肌を焼いて、ようやく気がついて「熱い!」と感じることもありました。
胸当てのあるエプロンを使用することにしました。
ジーンズ生地でも、火には弱くて、穴が開きます。
何カ所も当て布をして、ミシン掛け。今は雑巾のようになりました。

その鉄粉は、四方八方に飛び散り・床に落ちて、まるで雪でも降ったかのように なります。ゴーグルを使用するのですが、結膜炎になるのは、何回もあります。
その鉄粉を、そのままにしていたら、細かい部分は風にのって、他人の眼に入るかもという懸念があって、毎回の作業後は大掃除です。

最初黒色の鋼材は、銀色になります。砥石を変えて研削を続けていくと、究極の砥石で、研磨の状態にすれば、日本刀のようにピカピカになります。
しかし、そこまでの研削・研磨はしません。

300年以上の歴史があるといわれる琉球古武術。
当然その時代には、精密機械・ステンレス・メッキ・ペンキ等々は無かった!
技の中には、物打ちを握る技もあります。
あくまでも「隠し武器」です。
当館では、そのへんを考慮して、なるべくレトロ調にしようとしています。
しかし、極端な努力をしなくても、手作り品ですから、自然とそうなります。

真夏では、つらい作業ですが、秋ともなれば、絶好調です。
2本1組の完成は5日間の肉体労働です。さて、また頑張ります。

◆【釵のサイズと重量】

 釵の製作にあたり、各社の釵を購入して研究しました。
模造刀のように、合金を型にはめ込んで製作した釵は、大量生産が出来るので安価である。
鉄製の手作りのような釵は、左右一対のそれぞれの重量が異なる。同じ重量の釵は少ない。
S社の釵は、私が直接見た釵とよく似ている。しかしバランスが悪い。

 数々と製作している内に、サイズに気がつきました。
男性で、身長が約165cm~約175cmの方々は、殆ど同じサイズで適合します。
どうやら、身長の差は、脚の長さが影響していますが、上半身は余り変わらない。
ということのようです。

しかし、手のサイズは、若いときからの手の使い方なのか、体重の差なのか、かなりの差がありました。
それでも、翼の内側寸法を数ミリ変えるだけで、適合します。

 1本の釵の翼の形を、左右共に同じにしなければなりません。
同時に、もう1本も、それを全く同じにしなければなりません。
太さも重量も、その2本1組は、同じでなければなりません。
しかし、手作業で鉄を研削しますので、全く同じ、というわけにはいきません。
標準的に650gにしようと思うのですが、620,630,640等と、各種が出来てしまいます。
それでも、最近は、軽い釵を求める方が多いので、問題はありません。

 購入するのに、「一度、その釵を見てから・・・・・」という方が何人もおられます。
遠方より、わざわざ来てくれます。
600gから660gの間で完成した釵を、軽い釵から重い釵に、10組ほど並べて待っています。
それぞれに、重量の記載された荷札を付けてあります。

来られた方々は、自分が使用している釵を持参して来られます。
そして、どの方も、全く同じ反応があります。
「あれ!!軽い」
バランスが良いと、親指の上に乗っただけでも、重さを感じません。
「あれ!!どれにしようかな」
それぞれの釵の重量は異なるのですが、どれにしようかと、迷います。
何回も何回も、それぞれを手に持って、演武しますが、決められません。
雑談を交えて、約1時間が経過します。
「じゃ~、折角来たのだから、軽いこれと、重いこれ、2組を」
予定外の行動に出ます。
この時間を掛けても判断が出来かねる気持ちが解ります。

◆【釵の製作】
久しぶりに大型の釵を製作しました。
岡山県のK氏(身長184cm、体重100kg)様からです。
中央の釵が、通常の当館の製作品です。

◆【釵の製作】
令和2年2月26日に、武集館道場の収録のために、静岡第一テレビが収録に来館しました。
タレントの平野ノラさん・鳥越佳那アナウンサーに釵の持ち方を披露しました。
当館の釵は、バランスが良いので、簡単に回転するはずが、できません。
真横で、ゆっくりと見本を見せたのですが、無理でした。

3月13日の放映を見て、その原因に気がつきました。
彼女たちは、最初の持ち方から異なっていました。
「落としてはならない」と思ったのでしょうか?
元(もの打ちと翼との十文字部分)の部分を親指と中指でガッチリと挟み込んで
固定していました。何もしないこの時点で、余計な力を使っていました。
次に回転させようとして、中指と薬指を離すと、その反動で釵が揺れます。
「釵が落ちるのではなかろうか?」その不安が、また元の状態に戻るようで、
先ほどよりも更に強く握り直します。今度は中指と薬指も小指まで。
今度は、回転しようとして、その三本の指を解放するのが怖くなったようでした。

 バランス釵の使用法は、そうではないのです。
親指と人差し指の間のできるV形の場所に翼を乗せて、まるでヤジロベーのようにして、
薬指と小指の第Ⅰ関節あたりが、もう一方の翼に触れる程度に持ちます。
中指は遊んでいます。人差し指は柄の部分に軽く触れています。

 何も力は入っていません。手首の柔らかい方は、そのまま柄を握るように、3~4本の指が柄の反対側に指を回して、引っ張ります。回転します。
或いは、人差し指だけでも、同じことができます。

 さ~柔らかく持って、力まずに使ってみてください。

◆【釵の製作】
最近 女性からの注文が多々あります。
鉄棒に 鉛筆を削るような作業を 二日ほど続けます。
「どのような人が使うのだろうか」などと考えながら、作業をします。
女性となると、特に滑らかになるように気を遣います。
終われば、床には 雪が降ったかのように 黒い粉が積もります。

◆【釵の製作】
 当初は、身長・体重を聞いたりして、希望するサイズで製作していました。
ところが、体格の差があっても、殆どの方の釵は似たようなサイズでした。
失礼な話ですが、足の長さの差であって、上半身には大きな差がないことがわかりました。
そこで、当館の規格サイズを定めて製作をしていました。
そこで適合してくれた方には感謝します。
 しかし、最近は、当館の規格サイズを、若干変えないと不都合な方も数名ございました。
 そこで、希望のサイズを聞いて、それに合わせて製作することも始めました。
要するに、当初の頃の製作方法も行うということです。

最近、ご注文をされる方が希望することは、
 ・軽くする
 ・物打ち部分を短くする。
 ・翼の部分の幅を狭くする。
 ・物打ち部分の先端を尖らせる。
 ・バランスは、なるべく水平に近くする。
こういった内容が多くありました。

◆【貴方の愛釵は、如何ですか?】
貴方の愛釵は、如何ですか?
・サイズが適合していますか? 
・重量は重くないですか? 
・素早く逆手から順手に回転できますか?

A(柄の長さ): 逆手持ちしたときに、人差し指の先端が、柄頭に触れない程度が理想です。指が、柄の中に収まっていますか?

出過ぎていると、突きのときに危険です。

一般的には約10cmの長さです。
B(物打ちの長さ): 逆手持ちしたときに、肘より2~3cm程出るのが理想です。

それよりも短いと、上段受けのときに、肘に相手の武器が当たります。
C(翼の内側の長さ): 逆手持ちしたときに、親指が窮屈ではありませんか?あるいは、隙間が多くありませんか?

どちらも、逆手から順手に持ち替えて、裏打ちのときに、素早くできません。

居合道の「抜き打ちの一刀」のような、「瞬時の裏打ち」を素早くするには、少しの隙間の方が、スムーズにいきます。参考的な数値としては、S:40mm M:45mm L:50mmです。
D(翼の長さ): 長すぎると、引き手のときに、いつも遠慮ぎみに引くので、動作が小さくなります。

また、物打ち部分の、相手の武器を受ける部分が狭くなります。

一般的には約7cmの長さです。
E(1本の重量): 重すぎて、手首を痛めることのないようにしてください。

重いものは組手用。軽いものは形用として、2組の利用をお薦めします。

最近は、師範クラスや高齢者の方は、軽いものを選んでいます。

◆釵の製作の最近

各社の釵を購入したが、「これが本来の形である」という物は無かった。
そこで、自分で作り始めました。
丸棒に曲げた翼を溶接する。柄の先端に柄頭を溶接する。
物打ち部分を八角に削る。なおかつ先端に向かって細くする。
翼の部分は八角ではなく、丸く円錐形に削る。
バランスを考慮しながら、柄頭を切子状に削る。
2本1組の各々の重量を同じように調整する。
荒削り状態を、仕上げ研磨してピカピカにする。
ガンブルー塗装をする。
柄に紐を巻き付ける。
約1週間で完成となります。

総全長 約52cm
総重量 約550~700g

最近多く見かけるものは、模造刀のように、型にはめ込んだ合金製が
多種見られるが、これらのような工場生産と違って、当館では大量生産は出来ない。

釵についての問い合わせをいただく方は、殆どが高段者・師範です。
あるとき、おそらく師範であろう方からの連絡をいただいた。
「600g以下で、とにかく軽くて、先端が尖った釵を作れないか?」
やってみることにしました。
ちょっと懸念したが、意外にも注文通りの釵ができました。
高齢者には、手首の負担の掛からないように、軽い釵が良いのだと気がつきました。
更に、女性の修行者もいることを思い出しました。
今は、今までの形状ではなくて、この形状にして製作をしています。
どこかが変わっても、切子形の柄頭は、必ず付けます。


あるときは、依頼主の方が所有している釵の加工を頼まれました。
いつもの形状に加工してみたら、殆ど近い形状になりました。
できる物とできない物がありますが、合金だったがなんとか完成できました。


釵製作は細かい鉄粉が鼻の中まで入り込む、研削・研磨作業です。
あまりやりたくない作業でもあります。
道場の備品のために、時々思いついたように製作作業をする。
そんな最近です。

◆久しぶりの釵の製作

しばらく釵の製作をしていませんでした。
男二人が、1週間もかかって作業、それが市販品より高い金額!!
これは、駄目だ!!と勝手に判断して、やめていました。

8月5日に、息子のために、どうしても買ってやりたいという、もの凄く熱心な母親が連絡をくれました。
聞けば、ネットを調べてもない!販売店へ行ったが気に入らない!買ったこともあるが使いにくい!
息子の先生が持っている釵と、同じ物が欲しいという息子の願いを叶えてやりたい、という熱意が半端ではなかったので、動かされて再開することにしました。

久しぶりにやろうとすると、溶接機が動かない!修理へ出すが、夏休みがあるので、日数がかかるという。
3種類の鋼材も各1mあればよいのだが、定尺の5.5mを買うしかない。
暑いを過ぎて、熱い!!
相棒と二人で、こつこつと毎日。
ようやく完成して、9月2日に送りました。約1ヶ月の奮闘でした。