沖縄の船越義珍先生は、文部省の要請により、体育として「唐手」を本土に持って来られました。そして、「唐手」は「空手」となりました。
船越義珍先生の門下生の平信賢先生は、「琉球古武術」を本土に持って来られました。
そして、1940年に琉球古武道保存振興会を創立して、1964年に琉球古武道大鑑(乾之巻)を発行なさいました。
琉球古武道大鑑は、①乾之巻・②元之巻・③亨之巻・④利の巻・⑤貞之巻の5巻の発行予定でしたが、①乾の巻で、終わってしまいました。
甲賀流忍術第14世藤田正湖師の命により、その門下の井上元勝先生は、平信賢先生に師事し琉球古武術を学びました。
井上元勝先生は、平信賢先生の説明による、琉球古武術で使用する各種の武器の全てを直接見て、市内の鉄工所・木工所に依頼して、数々の複製品製作をしました。
各種の武器がありますが、釵だけでも、大きい物・小さい物・長い物・短い物・重い物・軽い物・・・・井上空手道場の壁には、壁が見えなくなるほどにズラリと並んでいました。(現在、井上空手道場は東京都内へ移転しています)
平信賢先生は、最高直門の井上元勝先生に40余の型すべてを伝授し、栄誉ある免許皆伝第1号範士を与えました。さらに振興という観点から、型に基づいた技術体系を編むように命じました。そして、それは確立されました。
そして、井上元勝先生は、琉球古武道に関する書籍を発行なさいました。
その発行書籍は、国内最多の数々でした。
1977年発行の、「ひとりでできる入門書・琉球古武道基本技シリーズⅡ・釵術」
これには、「釵の種類」・「釵の寸法」・「釵のバランス」・「釵の持ち方」などが、図説で解りやすく記載されています。
当館製作の琉球古武術の古武器は、こういった資料と、実際に見た現物を見本として、製作しております。
なお、
「図説 武器術」 小佐野 淳著 新紀元社発行
「秘武器の全てがわかる本」 岩井 虎伯著 BABジャパン発行
上記の2冊に、「鉄尺」が、中国武術の武器として、紹介されています。
これは、琉球古武道の釵と似てはいますが、異なるものです。