サービス品の製作

 当館は、古武器製作のなかの、釵の製作が主になっています。
大型工場と異なって、大量生産はできません。
個人の工房ですから、ひとつひとつが手作りです。
材料費と実労働時間分(最低労働賃金計算)の金額で、利益は含んでいません。
それでも、当館の都合金額なので、購入者はどう思うのか?

 倉庫内にある余った資材で、釵より手間が掛からずに製作できる古武器もあります。
それを、「サービス品」として、複数の古武器購入者に提供するときもありますが、
数が限られています。
ちなみに、釵は、懲りすぎているせいか、数日かかりますので、
サービス品とはなりません。
そして、価格でサービスする古武器もあります。

 今回も、「サービス品」の「鉄パイプ製のヌンチャク」を製作しました。
直径19mmのものです。
先日、釵を購入された方に、サービス品として、贈りました。

スルジンの追加製作

 熊本県の空手道師範のM氏や、千葉県のM氏のように、重い釵と軽い釵、その他の武器などを多数ご注文くださいました方々に、サービス用として、「スルジン」を製作して贈りました。そして、HPに「スルジン」を紹介しました。

そうしたところ、「師範ではないけれど・・・・・」「稽古したいのですが・・・・・」「欲しいのですが・・・・・」
などの問い合わせがありました。

 そこで、「スルジン」を追加製作し、販売することにしました。
今回は、「撚り戻し」と「キーリング」を組み合わせました。
鎖は約六尺(約1.82m)で取り付けてあるので、好みの長さに調節して利用できます。

貴方の愛釵は、如何ですか?

貴方の愛釵は、如何ですか?
・サイズが適合していますか?
・重量は重くないですか?
・素早く逆手から順手に回転できますか?



A(柄の長さ):


逆手持ちしたときに、人差し指の先端が、柄頭に触れない程度が理想です。指が、柄の中に収まっていますか?
出過ぎていると、突きのときに危険です。




B(物打ちの長さ):


逆手持ちしたときに、肘より2~3cm程出るのが理想です。
それよりも短いと、上段受けのときに、肘に相手の武器が当たります。




C(翼の内側の長さ):


逆手持ちしたときに、親指が窮屈ではありませんか?あるいは、隙間が多くありませんか?
どちらも、逆手から順手に持ち替えて、裏打ちのときに、素早くできません。
居合道の「抜き打ちの一刀」のような、「瞬時の裏打ち」を素早くするには、少しの隙間の方が、スムーズにいきます。参考的な数値としては、S:40mm M:45mm L:50mmです。




D(翼の長さ):


長すぎると、引き手のときに、いつも遠慮ぎみに引くので、動作が小さくなります。
また、物打ち部分の、相手の武器を受ける部分が狭くなります。
一般的には約7cmの長さです。




E(1本の重量):


重すぎて、手首を痛めることのないようにしてください。
重いものは組手用。軽いものは形用として、2組の利用をお薦めします。
最近は、師範クラスや高齢者の方は、軽いものを選んでいます。

最近の製作品状況

千葉県在住のM氏は、稽古と歴史的研究に非常に熱心な方で、各種の釵を購入した後に、特製のトンファーと特製の卍釵を注文してくださいました。
それぞれの武器を、演武用と組手用に使い分けるのだそうです。

卍釵のプレゼント

釵は、本来は3本が1組で、両手に1本ずつ、そしてもう1本を腰(背中か脇)に差す、といわれています。
もしも、1本が手から落ちたときの予備ということと、投げるという技のためです。
釵は、打つ・突く・受ける・打ち落とす・投げるなどの技があるが、投げる技だけは、上手くいかない。
距離によるが、先端が刺さるのではなくて、柄頭が当たることが多い。
卍釵には、柄頭が付いているものと、先端が尖ったものとの2種類があります。

釵製作で、一番苦労するのは、翼の部分です。
機械での大量製作と異なって、1本ずつの手作りなので苦労をしています。
翼は、両方が同じ形状にならなくてはならない。それも2本共であるから、計4箇所を同じにするとなると失敗も多いです。
そんなこともあって、ついつい翼の鋼材を多めに購入してしまいます。
この度、倉庫整理を兼ねて、余った翼の部分の鋼材だけで、卍釵を製作しました。
得意の切子形の柄頭は無くて、先端が尖った形状です。
全長約50cm、重量約450g~500g

以前に、釵を購入した方に、特製のトンファーをプレゼントしていましたが、今回は、この卍釵をプレゼントしようと決めました。
しかし、先着10名様限りとなります。
危険なもののため、不用の方は、その旨を連絡くださいますように。

釵の製作の最近

各社の釵を購入したが、「これが本来の形である」という物は無かった。
そこで、自分で作り始めました。
丸棒に曲げた翼を溶接する。柄の先端に柄頭を溶接する。
物打ち部分を八角に削る。なおかつ先端に向かって細くする。
翼の部分は八角ではなく、丸く円錐形に削る。
バランスを考慮しながら、柄頭を切子状に削る。
2本1組の各々の重量を同じように調整する。
荒削り状態を、仕上げ研磨してピカピカにする。
ガンブルー塗装をする。
柄に紐を巻き付ける。
約1週間で完成となります。

総全長 約52cm
総重量 約550~700g

最近多く見かけるものは、模造刀のように、型にはめ込んだ合金製が
多種見られるが、これらのような工場生産と違って、当館では大量生産は出来ない。

釵についての問い合わせをいただく方は、殆どが高段者・師範です。
あるとき、おそらく師範であろう方からの連絡をいただいた。
「600g以下で、とにかく軽くて、先端が尖った釵を作れないか?」
やってみることにしました。
ちょっと懸念したが、意外にも注文通りの釵ができました。
高齢者には、手首の負担の掛からないように、軽い釵が良いのだと気がつきました。
更に、女性の修行者もいることを思い出しました。
今は、今までの形状ではなくて、この形状にして製作をしています。
どこかが変わっても、切子形の柄頭は、必ず付けます。


あるときは、依頼主の方が所有している釵の加工を頼まれました。
いつもの形状に加工してみたら、殆ど近い形状になりました。
できる物とできない物があるが、合金だったがなんとか完成できた。


釵製作は細かい鉄粉が鼻の中まで入り込む、研削・研磨作業です。
あまりやりたくない作業でもあります。
道場の備品のために、時々思いついたように製作作業をする。
そんな最近です。